11月15日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

駅がゆっくりと車窓に止まった。

視界の中央、線路の対岸に男女が立っている。

とても楽しそうな二人はおどけたように身体を揺らしながら話している。

僕が吊革を握りながら黙って見ているのを二人は気づかない。

そのうちに駅は右に向かい、相対的に僕の視界は左に向かう。

爪先に唐突な痛みが走って、うげっと声を上げる。

隣に立つ人が謝ったので、反射的に僕も謝る。

お腹が空いたから、早く帰ろう。

最寄りからの道、月が見えないことがやけに気になる夜だった。

帰ってから靴下を脱いだら親指が紫色に腫れていて、参ったなとつぶやくしかなかった。

※この物語はフィクションです