10月18日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

冬が来たのでタンスからマフラーを出してきた。

一年ぶりのマフラーは、首がチクチクしてかゆくなる。

去年のことなんて覚えていないから、きっと去年の冬もチクチクを感じて、そのうちに慣れていったんだろうと思う。

私はそうやって少しずつ季節を忘れて、感覚を忘れて、生きている。

外に出たら手袋も欲しくなって、でも手袋もきっとチクチクするんだろうと思うとなんだか憂鬱になった。

友達とのやりとりのためにはポケットに手を突っ込んではいられない。

冬の季節にも常にメッセージをやりとりするために、手袋は欠かせないのだ。

かじかむほどではなくても確実に冷えていく指先と、暖かくてもチクチクする首元の比較が、なんとなくまだ秋だった。

トントンという肩の刺激に振り向くと、同級生が「よっ」と言って微笑む。

マフラーに顔を埋めているその顔が新鮮に見えたので、冬を少し忘れるくらいがちょうど良いのだと思えた。

※この物語はフィクションです