10月2日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

初めて見た空の色は、澄み渡っていて綺麗だ。

ここまで来れば、もう誰も追ってこない。僕らを縛るものはもう何もない。

「どうして悲しいことばかり思いつくんだろうね」彼女は青い空に向かって言った。

「こんなに楽しいのに、今、すごく死にたいなって思ってる」僕の方を見て微笑む彼女は、さっきまでとまるで変わらない。

僕もそう思ったから、なるべく爽やかに笑いながら「そうだね」と返した。「僕も同じ気持ちだ」

「私たち、これから生きててこれ以上楽しいことあるのかなあ」彼女はえへへと笑って、「杞憂かな」と言った。

「少なくとも、今までよりはずっと楽しいと思う」僕は曖昧に返したけど、それが少しずるい気がしてしまう。

「いや、楽しくするよ。楽しくしないと」逃げる必要はもうないのに、僕は彼女の手を引く。

少しでも、ここじゃない場所を目指そう。

「これまでの元を取るんだよ」あの街ではできない顔を作って生きていこう。

※この物語はフィクションです