9月30日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

初めは泣いていた。

自転車に乗ることは、僕にとって鬱憤を晴らすための道具でしかなかった。

涙の跡に当たる風が心地よかった。

自転車に乗ることが増えて、通学も自転車にして、自転車に乗る時間が生きがいになった。

夢中で濃く僕の頬を切る風は、僕のための風だった。

自転車友達ができて、旅に出るようになって、笑いながら自転車に乗っている時間が増えた。

それでも思う。

あの時の涙がなければ自転車には乗ってなかった。

だから僕はあの時泣いてよかった。

そんな内容のインタビュー記事が目に入った。

破り捨ててしまいたかった。

※この物語はフィクションです