9月8日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

楽しかった日々に戻れたとして、再び訪れた楽しい日々を、僕はもう一度楽しめるのか。

「楽しかったよ」彼女は言った。街灯に集まった蛾を僕は見ていた。

「また今度」彼女は言った。僕が彼女を見たときには彼女はもう向こうを向いていた。

楽しかった日々には戻れないけれど、そんなこと分かっているのだけれど。

考えてしまわざるを得ないほど、色褪せたあの日々は綺麗に映る。

「心の底から楽しかった日々って本当にあった?」彼女の声でそれは再生される。

「いつも何かを押し込めて楽しかったことにして、それを思い出して悲しんでるんじゃないの?」

そうなのかもしれない。彼女の僕を呼ぶ声だけ、なぜか再生できなくて少し悲しくなる。

楽しかった日々に戻れたとして、色褪せたその色は目に映らない。

鮮やかな原色は苦しくて、きっと泣いてしまう。

※この物語はフィクションです