9月6日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

「口内炎が治らないので優しくしてほしい」「は?」家に帰ってきた俺に対する第一声はおかえりではなかった。

「口内炎が! 治らんのじゃ!」「やめろ、じたばたするな。響くぞ」部屋着のまま地団駄を踏む彼女。

「虫歯じゃないんだから響かにゃッツ!! 痛ったー……」「言わんこっちゃない」彼女は頬を押さえてうずくまっている。

「とりあえず飯は」「くくってらいれふ」「だろうと思った」冷蔵庫を開けて中身を確認した。

「じゃあおじやでも作るか」「よろひくおねあいひまふ」「そろそろ普通に話してくれ」

スーツの上にエプロンを着けて冷蔵庫の中から野菜を取り出す。料理なんて久しぶりだ。

「飯より先にお願い事がありまふ」「なんだよ、どうした」うつむいた彼女はキッチンの横でもじもじしている。

「今日だけでいいので優しくしてくらはい」耳まで染まった彼女が、急に初々しく見えて恥ずかしくなってくる。

「ん」頭をなでてやっていたらなんだか俺までおかしくなりそうだったので、思わずベチンとやってしまった。

それ以来、この家には口内炎がある人に優しくしようと努力するというルールができた。

※この物語はフィクションです