9月1日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

「近所に有名なゴミ屋敷あるじゃん」新学期の初日、早く着きすぎた俺にあいつはこっそり言った。

今まであまり話したことはない。サッカーでゴールを決めた時のあいつの顔くらいしか印象にない俺は少し動揺する。

「聞いてる?」俺は気持ち悪くなって首を上下に小刻みに振った。

「あれ、俺の親戚の家なんだ」「えっ」すごく小さな声が自分の口から出たことに驚く。

この間、ガキ大将が石を投げていたあのゴミ屋敷が、親戚の家?

「お前も一緒に石投げてたじゃん」あの時お前も確か一緒にいた。確認のように聞く。

「投げてた」あいつはすごく自然だ。眩暈がするほど不自然な平常感。

「だって、親戚と友達とどっちが大事だよ」

バツンという音がして、チャイムが鳴った。そうか、まだ入っちゃいけない時間だったんだ。

入ってきた友達としゃべり出したあいつが、なんでそんな話をしたのかなんて分からずじまいで良い気がした。

※この物語はフィクションです