8月29日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

補習なのは僕だけだった。

体育教師は屋根のあるところで寝てしまっていた。

僕はプールに入りたくなくて、足だけプールにつけて遠くを眺めている。

いつものプールの時間とは違う、穏やかな時間が流れていた。

飛行船がゆっくりと東の方に飛んでいくから、なんとなく手を振った。

プールサイドに迷い込んだ猫が、寄ってきたので首をくすぐってやった。

夏の一日、一人きりの夏の一日がこうやって過ぎていく。

ドラマなんて要らないよなあ。

帰ったらきっともうお父さんはいないんだろうけど、そんなことと思えてしまう。

ドラマのない、この時間を引き延ばした映画をずっと見ている人生もよかったと思うんだけど。

※この物語はフィクションです