8月26日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

「いつか消えてしまうものは、ないのと同じ」

君が放った言葉は、僕の中に重く残っていた。

十年、二十年、三十年経って、花火大会なんてとうの昔で、君が僕を覚えていなくて。

赤く照らされた君の横顔が、雨上がりの蒸された山の匂いが、膝に零した冷たいかき氷が。

そこにあった僕の感情が。

「そんなの、いつか消えてしまうじゃない」

わかってる。分かっている。証明なんてできない。なかったことにするのは簡単だ。

けれど僕は何も言えないのだ。

花火が打ち上がる。

何も残らない空を見上げて、君が微笑んで海に飛び込んで、あれから五十年経っても僕は君を覚えていて。

※この物語はフィクションです