8月15日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

「手紙を渡されたんです」彼女は浅い呼吸のまま言う。「あなたに渡してって」

「私に?」驚いた声を上げる私。「何のために?」

演技なのだ。その手紙の差出人だけでなく、内容も、出した理由も、私は全て知っていた。

「わからないけど、受け取ってください」彼女の目は潤んでいる。「彼の頼みなんです」

そうよ。彼の頼みに決まってる。彼が騙された善良な子羊になって、私が悪い魔女になるための儀式。

頼まれなきゃやらないわよ、こんなこと。それこそ彼以外なら言いふらしてた。

ひったくった手紙に、素早く私はライターで火をつける。

彼女は泣き出しそうな顔をして、その場にうずくまる。

それでいいの。あなたとの日々は最後までドラマティックだったわ。

さよなら、愛した人。

※この物語はフィクションです