7月24日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

違う名前で呼ばれることに、慣れたくない自分がいる。

慈悲の心とともに差し出されるミルクを、なめたくない自分がいる。

あのおじいさんも、あのおばあさんも、哀れんだ目で僕を見て、自分の方が偉いと思っている。

そんな人とあの人を比べて、自分の境遇を考えてしまう。

三年前、夕立の中、箱に入れられた僕はあの人を待っていたかのような気がした。

「名前をつけてあげよう」

その人は、優しい声で言った。 

僕を捨てたのはあの人なのに、僕の名前はあの人のつけたものだけしかない。

「今日からうちの子になるんだよ」 

夏なのに冷たい手が、恋しくてたまらないのだ。

※この物語はフィクションです