7月22日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

蝉の声を今年になって初めて聞いたのは、あの子に会いたくなかったからだ。

学校の帰り道、あの子の家の前を通らないように、公園の中を通り過ぎる。

公園になんて滅多に来なかったから、蝉の音さえ忘れていた。

あんなにうるさく、何が悲しくて蝉は泣くのだろう。

どうしても聞いて欲しくて、あの子に電話をかける振りをした。

「君に蝉の声を聞かせたいと思ったんだけどさ」

「けど蝉がうるさすぎて君の声のほうが聞こえないや」

「えへへ、ごめんね。ありがとね」

何が悲しくて、蝉は泣くのだろう。

僕の中の蝉時雨。

※この物語はフィクションです