7月20日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

昔から、一番欲しいものは手の届かない場所にあった。

限定衣装のお人形は、買ってもらえないまま。

本当に欲しいものの前で良い子でいてはいけないと、代わりが用意できなくなってから気づくのだった。

そんなことを思いながら、私は彼女の背中のファスナーを閉める。

私の欲しい気持ちは、いつも遅れてやってくる。

「どう? 私綺麗に見える?」

ええ。とっても綺麗よ。世界で一番綺麗。

どうして、欲しかったと思うものほど、手に入れられないのだろう。

気づくと私は、後ろから彼女を抱きしめていた。

「ありがとう」と、そう言う彼女の声が一番近くで聞こえて、私は彼女のドレスを汚してしまうのだ。

※この物語はフィクションです