7月15日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

鏡に触れたら、向こう側の僕と手が触れた。

冷たいガラス質の僕が、少しずつ暖まっていく。

僕がガラスの向こうの僕を見ると、ガラスの向こうの僕も僕を見る。

黒い目がこちらを見ている。

向こう側の僕がにやりと笑ったのを感じた。

自らの頬を触り直す頃にはもう向こう側の僕は笑っていなかった。

深夜二時、水の音だけが響く洗面台。

執拗に瞬く蛍光灯と、呆然とたたずむ僕。

鏡に映っているのは誰でもない、ただの光の起こした錯覚。

その錯覚は、なぜかたまに自分をあざ笑っているように感じるのだ。

※この物語はフィクションです