7月4日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

「変わってしまったよね、あなたも」隣のベッドで眠る彼は、安らかだった。

わたしはベッドの左に置いてあったスイッチを切る。

こんなに不用心に置いておくなんて、わたしみたいな人は今までいなかったのかしら。

少しずつずれ始めた世界で、絶対的な価値となった幸福を、追い求めない人は異端になった。

幸福につながらないことは誰もしなくなったし、反対に幸福につながることは誰もがした。

電気の送られなくなった人工臓器の動きが止まり、だんだんと体液の循環が悪くなるのを感じる。

わたしは、幸福の保障された未来を、今この手で自ら退けた、異端だった。

わたしが、これからどれだけ幸せに生きられるとしても、少し意地悪いあなたのほうが好きだった。

それでも、これから訪れるあなたの幸せを、わたしは邪魔しないから。

おやすみ。せめていい夢を。

※この物語はフィクションです