7月3日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

二十三世紀が来て僕は、まだ僕が生きていることが信じられなくて。

宇宙飛行士は空に行ったよ。僕は身体の都合で空には行けないけど、疑似飛行は楽しかった。

君が言うとおり、お肉は高級品になった。でも人工肉もそんなに悪くないんだ。技術はすごい。

擬似的に雷を起こす法案を国会が可決させたんだ。なんでも、夏を感じたいらしい。君は雷が苦手だっただろう?

もっとも、今の君には怖いものなんてないんだ。そういうふうにセットアップされたから。

僕はというと怖いものだらけさ。自分が死ぬのもこわい。二百年経っても君みたいにはなれない。

むしろ君のほうが怖がりだったのかもしれない。恐ろしい犯罪も増えたし、君が怖がってた虫は今じゃ普通にいる。

ああ、話し相手になってくれる方の君のデータセットは古いままだった。あとでアップデートしておくね。

たまには手紙を書くのもいいと思う。大学の頃のシャーペンまだ使えるんだよ。芯が貴重なんだけど。

二十三世紀が来て、僕はまだ、君がいないことが信じられなくて。

※この物語はフィクションです