7月2日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

「俺、今日で死ぬんだってさ」

あっけらかんとした口調。今日の給食が鯖の味噌煮だって言うくらいのトーン。

「占い師が言ってたんだ。うちの母ちゃん毎週占い師のとこに通っててさ、百万出さないと俺今日死ぬんだって」

彼はそう言うと持っていた虫取り網をくしゃりと振った。

「なんだ、ただのバッタだ」

「それで、ほんとに死ぬの?」

「うん。死ぬと思う。母ちゃんが死ぬって言うから死ぬんだろ」

彼はバッタを器用につまんで持ち上げる。彼が殺そうと思えばすぐに殺せる。

「旅にでも出ようかなあ。一日だけ。楽しそうじゃね?」

顔を縦に振った僕を見て、彼はシシシと笑ってバッタを逃がした。

※この物語はフィクションです