6月25日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

友人の父親は、ゲームショップで働いていた。

小学校の頃のことだ。顔も思い出せない。

それでも、ゲームを売ってるお店だと聞くだけでなんだか楽しそうで、大変そうな自分の父親と比べていた。

まあそのゲームショップが潰れたのは、意識に上らないくらいには前のことなのだけれど。

靴屋になったそのゲームショップの前を通って、そういえば彼の父親は今頃何をやっているのだろうと考えた。

転職して違う仕事に就いているか、他の店舗で働かせてもらっているのか、そもそも他に店舗があるのか。

野次馬のおばちゃん程度の感情移入しかできない。他人の辛労を感じることはできないのだ。

髪を切った。

重かった髪は軽くなって、重かったんだなあと思ったのもつかの間、どれくらい伸びていたかさえ忘れてしまった。

人間の記憶装置のバグは、その人間を生かすためになくてはならないものになってしまった。

※この物語はフィクションです