6月16日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

砂浜で、透き通るような水色の石を拾った。

キラキラとしたその石は、パレードを氷のなかに閉じ込めたようだった。

あの夏、五年前の夏が氷漬けになったのだ、と私はとっさに思った。

私たちが高校生だったあの夏。

『奇跡』を追い求めてひたすら走り回ったあの夏。

お寺の境内で私たちが見つけた、『奇跡』と呼んでも遜色のないその風景は、やっぱり奇跡だったんだ。

氷漬けにされてしまうほど、誰かに見つかってはいけないものだったのだろう。

それくらいあの夏は、綺麗で、誇らしくて、秘密だった。

一度は拾った水色の石を、私はそっと波打ち際に置いた。

手に持ったままだったら、いつか忘れてしまいそうだと思ったから。

※この物語はフィクションです