6月12日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】 

気温が上がるにつれて、僕の気分は低く定まっていく。

明るさを過度に増した昼間も、生ぬるい風しか感じられない夜中も、気分を低下させる原因にしかならない。

暑いのが苦手になったのは、いつからのことだろうか。昔はそうでも無かった気がする。

そこまで考えたところで思い当たった彼の存在を、僕は無視しようとしてもできないのだ。

いつもクラスの端で本を読む彼と、僕は友達でいたかったから。

彼の嫌いなものを嫌って、彼の好きなものを好くようにして、夏の暑さが嫌いになって、静かな教室が好きになった。

彼の好きな人は自分の芯がしっかりした人で、彼の嫌いな人は嘘をつく人。

彼は僕の気持ちの嘘を見抜いたけど、彼が離れた頃にはどうしようもなく嘘が本当になった後だった。

夏が好きだった僕は、もういない。

人を騙そうとした証拠だけが、僕の気持ちを重くしているのだと、思い出してしまった。

※この物語はフィクションです