5月26日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

電車が来るまではまだ少しあったけれど、あなたは席を立った。

私も追うように待合室を出て隣に並ぶ。

二人の間を隔てているのは沈黙以上の何かだった。

季節外れの寒さが、カーディガンの上から肌を突き刺す。

きっと、もう会うことはない。あなたが私の手を温めることもない。ただ、それだけ。

最後のベルが鳴った。

電車に飛び乗ったあなたは、私の記憶を揺さぶるようにこちらを向く。

不意にあなたが伸ばした手に、触れられないまま扉は閉まる。

いつもそうだった。あなたはいつも自分の手は汚さずに、誰かに扉を閉めさせた。

私の心はこのホームに残されたまま、次の駅に進むのはあなただけだから。

※この物語はフィクションです