5月25日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

周期的に繰り返される振り子時計の動作音が、やけに印象的な夜だ。

俺はテレビを眺めていた。

あいつが家出をすることはよくあることだ。

そのまま帰ってこない晩だって、ないわけじゃない。

いつものことだと、分かってはいるのだ。

分かっているのだけれど。

重りが落ちきったら、振り子は止まる。

その重りを引き上げようと思わなくなったのは、いつからだろうか。

俺は眺めていただけのテレビを消そうとする手を下ろして、電気を付けたまま布団に潜った。

時計のことなんて忘れたかったのに、それでも振り子の音は響いていた。

※この物語はフィクションです