5月17日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

最後のベルが鳴った。

君は俯いていた顔をハッと上げる。

「あっけないものだね」僕はつぶやくけど返事はない。

その顔を見ても、今はもう季節外れになった冷たい風が頬を切るばかりだ。

振り返って、誰もいない車両に乗り込むと、さっきまで乗っていた人の熱気で顔が焼けた。

背中を見られるのがひどく胸をざわつかせるので、振り向いて君がすべて見えるようにする。

空間を隔てるものは、物理的なものだけには思えないのだ。

僕はまっすぐ、手を伸ばす。君に触れる前に、扉は閉まる。

それでいい、ここが僕らの終着点だ。

次に扉が開く頃には、違う空が広がるはずだから。

※この物語はフィクションです