5月1日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

彼らの背中が遠のいていく。

呼び止めようにも僕の声では到底届くはずがなく、黙ってしまう。

彼らは僕がいないことに気づかないまま行ってしまうのだ。

楽しそうに話す後ろ姿は、そこで完結したまま僕の存在を必要としない。

悲しさや寂しさより、湧いてくるのはむしろ達成感だった。

そうだ、これが僕の目指していた理想、自分がいなくても何も変わらない世界。

その現実の前で、僕にはもう呼び止める理由も、走って追いかける理由もなかった。

背を向けて歩き出す人影を止めようとする声は一つも無い。

地上から隔絶された僕は、これからどこへ行こうか。

どこへ行ったところで、僕がいる意味などもう無いのだけれど。

※この物語はフィクションです