4月28日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

忙しさに常に苛立っている彼女の、甘えた顔が見たいとは俺は別段思えない。

ただ、世の中にはいろんな人がいるようで、彼女も晴れて結婚するらしい。

俺は別にふーんとなるしかないのだが、同僚として結婚式には行かねばならなかった。

あと一ヶ月と少ししたら六月になるのだから、ジューンブライドでそっちのほうが良いじゃないかと考えたが、いつも俺の合理性のなさを指摘してくる彼女が式場の値段を気にしないわけがないなあと思い直すと少し笑顔になれた。

新郎の方はそこそこのイケメンで、学歴も申し分ない。

けれど、俺はそれ以上に、彼女のウエディングドレス姿に感服した。

彼女には、あんな幸せそうな顔もできるものなのか。

俺は彼女に対して何にも感慨を抱けなかったのに、その顔を見たときばかりはなぜだか置いて行かれた気がした。

俺の同僚の彼女は今日どこかのイケメンの妻になって、それでも明日も俺の同僚であることが奇妙に思えた昼だった。

※この物語はフィクションです