4月19日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

ヘッドライトが見えたとき、思い出したことが一つあって。

話さないといけないのに、うまい言葉が見つからない。

ためらってるうちに、先頭車両がスピードを落として通り過ぎる。

もう話せないなと、悟ってからももどかしい。

君も僕も黙ったまま、電車を見ている。

電車が止まって、ドアが開く。

長い十秒を終えた君は、一礼して向こうに行く。

僕は手を挙げて、別れの挨拶を口にしようとしたけれど、とっさに言葉が出ないまま無言で見送る。

もう見えない。

僕が後ろを向いたから、彼女の姿はもう見えない。

※この物語はフィクションです