4月16日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

気温だけは夏だった。

ほとんどの人はパーカーを着ていて、半袖なのは俺だけだった。

「暑いっすね」と挨拶をする散髪屋の主人はアロハシャツだった。

席に着くや否や「もう夏のシャンプー使っても良いっすよね」と問う主人は、返事も待たずにシャンプーをかけ始める。

襲いかかる激しい清涼感は頭皮に氷を当てられたようだった。

かき氷の屋台から流れる涼しい風のようなものを感じる。

俺の頭だけ完全に真夏だった。

頭皮から夏を感じるとか、そんな床屋ののぼりみたいなこと言いたくはなかったが、まさしく頭皮から夏を感じていた。

「涼しいでしょう、もうこの季節ですよ」自慢げな店主の顔が目に浮かぶ。

「冗談じゃないよ全く」夏の始まりはもう少し違うところで感じたかったのに。

※この物語はフィクションです