3月31日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

明日は入社式で、私にとって別れを告げるべきは大学ではなかった。

桜の咲く門の下は、かつて私が目指した場所。

そして私が嫌い、二度と足を向ける事がなかった場所。

なぜあんなに嫌っていたのか、今となっては分からなくなってしまった。

それが大人になるということなら、どれだけ寂しいことだろうか。

それでも、自分だけが卒業できていなかったのがどうしても心残りで、足を運ばずにはいられなかった。

曇り空でも寒くても、桜は少しだけ咲いていて、それを私が一人で見上げている様子がなんだか感慨深かった。

遅れても、いつか咲くってわかったら、咲かない桜も待てるようになったんだ。

春休み、誰もいない高校。

一人だけの卒業式。

※この物語はフィクションです