3月28日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

きっと誰かが今も車を走らせて、誰かに会いに行くのだろう。

そんな今でも、僕はこたつでアイスを食べるのだ。

冬が終わりに近づいて、春を迎える直前に、この世界は終わりを迎えるらしい。

アイスが溶けるように、丸かった地面はドロッと溶けて、宇宙と混じってなくなるらしい。

そんな終わりをなるべく特別にしないために、僕はアイスを買ってきた。

店員のいないコンビニのレジに百円玉を置いてアイスを一ついただいてきた。

安っぽいバニラの香りに鼻腔をくすぐられ、なめらかとは言いがたい舌触りを楽しむ。

外の叫び声なんか聞こえないようにひたすら味わうように食べるけど、どうしてもいつもと違ってしまって悲しかった。

僕の終わりは、こんなに不自由なものなんだ。

溶けかけた最後の一口は宙に浮き、悟った最期は一瞬で無になった。

※この物語はフィクションです