3月14日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

「あー、さむ」

つぶやいたことによって更に寒さは増した気がしなくもない。

その言葉を返す人なんていないから、尚更寒い。

春は近いというのに、耳が千切れそうなくらいの冷たい風が、誰もいない俺の横をすり抜けていく。

あー、俺の目の前で手を繋がないでくれ。

名前を呼び合って笑い合うな。

相対的に寒くなるだろ。

こんなことでイライラしている俺のことを好いてくれる人なんてこれっぽっちもいやしないんだ。

突然目の前を白い粒が通り過ぎて、俺は寒さの理由をなんとなく察したことにした。

夕飯は牛丼でいいやと、そう思える自分の自由を噛みしめることでそう思う余地のない人の幸せを呪った。

※この物語はフィクションです