3月12日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】 

東京の空はただ黒く、かろうじて見える星が点々とあるだけ。

故郷で何度も見た空と同じ空とは思えなかった。

これじゃあ、あいつもあんまりだろ。

つぶやいた言葉は、目の前を駆け抜けていったダンプカーにかき消された。

遠くから見守ってるなんてそんな可愛らしい約束さえ、この町は叶えさせてくれないらしい。

星になった彼を、隠してしまうほどの明るい街灯。

しばらくすれば慣れてしまう町並みを、今日くらいは否定していたい。

いつかは消えてしまうものでも、忘れなければ残り続けるなんて。

信じ続けていたかったけど、信じられなくなってしまう俺の心を、この町の空気が代弁する。

酸っぱくて甘い恋の話なんてのは、ちょっとだけ書きたくなくて。

※この物語はフィクションです