1月29日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

引っ越す時に親友から貰ったディスクには、私の好きだった彼の映画が入っていた。

一生縁のないと思っていた彼の映っている、私のためだけに撮られた映画。

何も言われずにもらってしまったものだから、最初は意味がわからなかった。

でもだんだんと、彼の役に感情移入する自分がいることに気づく。

彼の瞳に映らない私はまるで幽霊。

いくら頭の中で語りかけてもその言葉は届かないのに、気持ちばかりが募っていく。

勝手に告げたお別れも、彼が受け取ることはないのだ。

「好きになってごめんね」

それでも、姿を見ることができなくなっても、好きでい続けてごめんね。

私のために撮られた、私の気持ちを描いた映画は、不可解な青春時代を淡くぼかしたサイダーの甘さ。

※この物語はフィクションです