1月28日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

中学生の時に好きだった先生のことを、今でも俺は覚えている。

最初はほとんど言葉も交わさず、ただ一方的に思いを寄せるだけだった。

それが、ある友人がきっかけで、届かなかった先生は、すぐ近くにいる人になった。

毎日のように本について語り明かし、手を伸ばせば触れられる距離まで近づいたのに。

それでも、初めて言葉をかわしたときの優しい拒絶が、俺の手を体に縛り付けていたのだった。

強引にでも手を伸ばしてしまえば届くのに、拒絶が怖くて触れられなかった記憶。

優しい先生に同じ言葉を言わせるのは、俺にとっては恥でしかなかった。

十年経って、中学校の門の前を通って、先生との記憶に思いを馳せる。

「好きになってごめんね」

脳裏に浮かぶ誰かの言葉が、今でも先生の声で聞こえる自分が、恨めしく思ったりしていた。

※この物語はフィクションです