1月10日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

冷え切った空気感は、乾いた温風でカモフラージュされていた。

ブラインドは降りていて、隔離されたこの部屋からは空さえ見えない。

退屈なはずの解説を一秒たりとも聞き逃さぬとばかりに、全員が血走った目で前を見つめる異様な光景。

僕にはただただ退屈だった。

「そんなんだからいつまでたっても」という声が記憶の中から脳裏に響く。

あなたの声がうるさいからまた授業に集中できないんですよ、お母さん。

仕方ないからノートを取ろうと手元を見ると、ペンがオレンジのラインに染まっていた。

夕日がブラインドの隙間から窓際の席の手元だけを照らしているのだった。

顔をあげると、前の席の女子生徒も光の線を目で追っている。

今日の夕日が沈んでいくのに気づいたのは、この教室の中には僕らだけだと思った。

※この物語はフィクションです