12月7日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

大学生にもなって、何をしているんだと言われたら、弁明はできない。

私は一人で、夜の高校に忍び込んでいた。

生徒の間では有名だった抜け穴を抜けて、敷地に入る。

久しぶりに見上げる校舎は、黒の背景に埋もれて、いつにもまして監獄のようだった。

こんなザル警備の監獄、その気になれば抜け出せたのに。

たまたまプールの門が開いていたので、こっそり入ってみた。

土足で立つプールサイドも、黒緑の水面も、思い出には戻れないことを感じさせる。

しゃがみこんで少しだけ触った水は、ぬるっとして、指先に冷たく張り付いた。

息を吐きかけても、戻らない熱。

この日もいつか、戻れなくなる冬。

※この物語はフィクションです