11月24日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

昼間あんなに騒がれた雪は、跡形もなくなって、気付けば記憶からも消え去っていた。

降っていたことを思い出したのだって、ついさっきのことだ。

あれはどこに行ってしまったのだろう。

そういうふうに考え始めると、自分がいかに色々なものを忘れてきたか考えてしまう。

そして、忘れてきたがゆえにもう思い出せないことを知る。

電車を待つ間、かじかんだ手に息を吐きかけているときに、消えた雪は気温になったのではないかと思った。

溶けてしまった物質は、記憶からも溶けて、やがて概念になる。

僕が忘れてしまったいろいろなものが、僕を構成する概念の一つになっているとするなら。

そこまで考えたところで、夏という季節があったことを思い出して考えるのをやめた。

電車の中は暖かくて、スマホを取り出したら雪のことなんてさっぱり忘れてしまって、その程度だった。

※この物語はフィクションです