11月21日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

もうすぐ冬だから、電飾を下げた。

吊り下げの作業は、征ってしまった父の代わりに、今年は残った母と僕と弟が。

僕も弟も身長は父と同じくらいまであったのに、その作業は見た目ほど簡単ではなかった。

こんなつらい作業をしてまで、この誰もいない砂漠に明かりをつける理由はわからない。

それでも、父が始めたことだから、その想いだけは絶やしたくなかった。

モノクロの砂山を照らす色彩が、冬を告げる。

鮮やかな光に、母は目を覆い、弟はそっぽを向き、僕も眩しいふりをした。

もう戻らないと決まったわけじゃないのは分かっているのに、少しでも口にしたら認めてしまいそうで、口をつぐんだ。

「戦争は、嫌いだ」と弟がつぶやいた。

夜を彩るほんの少しの光が、寂しくなった我が家に少しでも明るい未来を運んでくれたら、と思う。

※この物語はフィクションです