11月20日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

20ページほどしか読んでいない本を閉じた。

やっぱり、僕にはうつし世の幻想は明るすぎたみたいだ。

顔を上げてもバスの中には誰もいない。

窓の外にはもう戻れない景色が、闇の中を光の線になって流れていく。

その線の中には、知っている誰かの顔があるはずだった。

それでも、焦点を合わせなければただの線にしか見えない。

今の僕には見る必要のない景色。

「次は、終点……お忘れ物のないように……」

忘れてきたものは、星の数ほどある。

それでもバスは、生きられなかった僕を乗せて無情に進む。

※この物語はフィクションです