11月7日 今日のエモい情景

【今日のエモい情景】

カットフルーツみたいな月。

目に入った途端、黒い夜空はブルーベリーソースのかかったスポンジケーキになった。

乱雑に切られたカステラの林を抜けて、お菓子の家を目指す私たち。

誰が邪魔したってこの道は邪魔させないと、思っているのが私だけだったらと、少し不安になる。

ふと横を見ると、私の不安なんて気にも留めずに鼻歌を口ずさみながら歩く君がいて、不安なんて消し飛んでしまった。

つながれた指先にはアラザンの一つだけついた小さなドーナツがはめられている。

雲が月を隠したけど、わたあめで包んだ缶詰のみかんも美味しいかもしれないと思うと、なんとなく笑顔になった。

この景色は、隣りにいる君にさえ伝わらない。

それでも少しでも伝えようとしたいから。

今日も君に笑われるために話すのだ。

※この物語はフィクションです